グティは東京で広告制作やカタログ制作に携わっていた関口さんが、出身地の高崎に戻って2012年に設立したブランドコンサルティング事務所です。東京でグラフィックデザイナーとして働くなか、上流工程からきちんとアプローチしてデザインをしたいという思いが強くなり、独立を契機にビジョンやアイデンティティづくりから始めるブランディングの事務所として活動を開始しました。
関口さんはまずクライアントの事業者さんと対話を重ね、会社や事業の方向性や魅力を探っていきます。探し当てた魅力はビジョンとして言語化されますが、案件によっては必ずしも言葉だけではないそうです。例えば「かつサンド工房PANTON」のブランディングでは、食べ物にとって最も重要な味に焦点を当て、ソースづくりや肉の選定など試作とテイスティングを重ね商品づくりに注力しました。また廣神建設の新事業ブランディングでは、建売住宅の工務店が過当競争で業績が悪化するなか、現社長(当時は専務)の趣味である茶道の価値観を掘りさげ、そこから「市中の山居」というキーワードと和モダン住宅という事業の方向性が定まり、「WABIKA」という新しい注文住宅ブランドが生まれました。いずれのケースも提供価値のユニークさ、高品質な商品、価値を的確に伝えるコミュニケーションデザインが相乗効果を発揮して、ブランドのファンになったお客さまの口コミが拡がり、事業として成功しています。
また経営者と考えるだけでなく、従業員と一緒に会社や事業の理念を考えるワークショップも実施しています。いきなり会社について考えるのではなく、関口さんが独自に開発した「生きかたーん」という「個人理念発見」ワークショップをやってもらい、参加した従業員ひとりひとりに自分の理念を考えてもらうことで、その後の会社の理念を考えるワークがスムーズに進むといいます。
ブランディング実務だけでなく、ブランディングやデザイン思考に関する研修や講演も手がけている関口さんですが、今後は商品開発、製品デザイン、空間設計や街づくりなど、領域の幅をさらに拡げていきたいとのことです。
1978年 | 群馬県高崎市生まれ |
2002年 | 中央大学理工学部精密機械工学科卒業 |
2002年 | 東京にて広告制作等に従事開始 |
2012年 | 株式会社Guty設立 |
2015年 | 「森人の海」グッドデザインぐんま 優秀賞受賞 |
2022年 | 「久留馬の郷」日本タイポグラフィ年鑑 パッケージ部門入賞 |
2024年 | 「LINGERIENA」グッドデザインぐんま 奨励賞受賞 |