konoha

京指物シャンパンクーラー
伝統工芸の技術を活かし、現代的なデザインの商品を開発。そのオリジナリティから世界的ブランドに採用が決まったことがきっかけで知名度が上がり、世界的なデザイナーとのコラボレーション案件が増加した。
発売年 2010年
開発予算規模

試作期間中は持ち出し

シャンパンクーラー konoha(高野槇)
シャンパンクーラー konoha(高野槇)
上からのビュー
エッジ部ディテール
素材違い(檜)
シャンパンクーラー みすみ(中央下部)他

ストーリー

主に伝統的な木桶(お櫃、飯台、湯桶等)を製作していた中川木工芸の中川周士さんが、マーケティングコンサルティング会社のリンクアップから「今までにない桶を作りませんか?」という依頼を受けたことが商品開発のスタートになります。当初は商品を決めずに新しい木桶のありかたを模索していましたが、2~3回目の試作でワインクーラーという方向性が定まりました。その後も2ヶ月に1回のペースで試作を重ねていきましたが、木材をタガで嵌めて形をつくる木桶の構造では、「もっとシャープに!」というリンクアップ社からの要望になかなか応えることができず、「もうこれで最後」というところで、よい解決策を思いつき一挙に製品化が進んだとのことです。

出来上がった製品の販路開拓をリンクアップ社があたったところ、世界的なシャンパンブランドの目に留まり、2年間で300個という独占契約が実現しました。独占契約期間が終了した後は、リンクアップ社・中川木工芸それぞれのネットショップで販売され、安定的なロングセラー商品になっています。売価は約10万円、手間賃を考えると適正な価格ですが、それまで作っていた伝統的なお櫃の売価が2~3万円でも「高い」と言われていたこともあり、当初は販売に不安を感じたそうです。ただ結果的に価格帯を上げることで、海外も含めてこれまで接点のなかった顧客層との繋がりをつくることができました。

木桶という珍しさやカタチの斬新さから多くのメディアで取りあげられ、またその後、海外の展示会に出品したこともあり、中川木工芸には世界のデザイナーからコラボレーション依頼が数多く舞い込むようになりました。デザイナーとのコラボプロジェクトでは、製品が完成し実際に販売されるまでは、基本的に持ち出しで試作を重ねていくため、開発期間中は先行投資になりますが、伝統工芸の技術とデザインが出会い、新しいものが生まれる可能性に魅力を感じて、今後も続けていきたいとのことです。またデザイナーとのコラボ以外でも、自らの発想と技術で新しい商品も作りはじめています。

効果