群馬県みなかみ町を拠点に活動する佐川航大さんは、1930〜1940年代に創業された「いなみ写真館」四代目。立教大学卒業後、東京都内の写真家事務所や制作会社で経験を積み、2020年にUターンしました。
いなみ写真館は、上越線開通で町がにぎわいを見せはじめた時代に創業。団体観光の集合写真や現像業務を中心に展開し、二代目、三代目と代を重ねるなかで事業内容を少しずつ広げてきました。先代であるお父さんの代からは学校写真にも力を入れ、地域に根ざした写真館としての役割を担ってきました。
四代目である佐川さんの代になり、本格的に取り組み始めたのが、企業や自治体に向けた広告撮影・映像制作です。地元商品のビジュアルや温泉地のウェブサイト用写真、ミュージックビデオなど、従来の写真館業務とは異なる分野にも活動を広げています。
その活動のひとつが、みなかみ町合併20周年のコンセプトビジュアルです。町のブランドイメージ刷新にあたり、佐川さんが日常のなかで撮りためていた自然の写真が採用されました。暮らしの延長線上で捉えた風景が「源流域のみなかみ」というメッセージを象徴するビジュアルとして最適だったのだそうです。
佐川さんの手掛ける作品は、人や自然の体温を感じるような等身大の表現が特徴です。「見慣れた日常の中にこそ美しさがある」と訴えかけるような、静かな迫力があります。
佐川さんは、天候という偶然に左右される自然と対峙し、その土地に暮らすからこそ出会える「思わぬ景色」を捉え続けています。同時に、地域の価値を伝えるには、自身のローカルな視点と外部の新しい感性が邂逅することが不可欠だといいます。今後は、人や自然との「予期せぬ出会い」から生まれる偶発性に注目しながら、みなかみの新たな価値や物語を形にしていきたいと考えています。
| 1993年 | 群馬県みなかみ町生まれ |
| 2018年 | 立教大学経済学部卒業 |
| 東京都内の写真家事務所、制作会社などで勤務 | |
| 2020年 | Uターンし、いなみ写真館四代目として活動開始 |