大量生産、大量消費し、大量廃棄する直線型経済(リニアエコノミー)から、廃棄物を減らし、資源を循環させる円型の循環型経済(サーキュラーエコノミー)へ世界が移行しつつあります。この移行を後押しするのが、「捨てる」に向かって一方通行だったモノの流れをもう一度「使う」に戻す、仕組みのデザインです。
モノファクトリーは、その仕組みのデザインを専門に請け負う新規事業部として2011年、産業廃棄物の中間処理を手がけるナカダイ内に発足、2016年に法人化しました。丁寧な分別・解体と、金属やプラスチック、木、繊維、ゴム、ガラスなど多種多様な固形産業廃棄物の一括受け入れや細かなニーズに対応できることがリサイクル率99%のナカダイの強み。モノファクトリーの名の通り、「資源を生産する場」と考え方を変え、産廃のプロがコンサルタントとなって、その知見を循環型経済の実現に役立てようと動き出したのです。
今でこそ資源循環は企業の関心が高い分野ですが、当時は廃棄ルートの仕組みをデザインし直すことの意義やインパクトを見せる必要がありました。モノファクトリーが始めに行ったのは、廃棄物に対する概念を変えてもらうための活動です。隈研吾建築事務所と廃材を活用して空間デザインを行ったり、東京R不動産を運営するOPEN Aとアップサイクルプロジェクトを企画したり、産廃サミットの企画・開催、多摩美術大学と課題を抱える企業とタッグを組み、「捨てないデザイン」の製品設計、制度設計を協働するなど、ソーシャルデザインや教育現場などで事例を積み重ね、話題を集めます。
さまざまな媒体や集まりで仕組みのデザインの意義や必要性を繰り返し伝えたことで、モノファクトリーの世界観は徐々に社会に浸透していきます。さらに時代も動き、2021年に政府が46%と明確な温室効果ガス削減目標を打ち出してからは、多くの企業が脱炭素化計画策定に伴う具体的なCO2削減目標やリサイクル率の達成に向け、事業の見直しに本腰を入れるようになりました。仕事の依頼も、廃棄物再利用のPRより、製品製造や販売方法、回収方法や廃棄物仕分けの再検討といったより社会実装に近づいた共創が相次いでいます。
先んじて循環型社会への移行が進んでいた欧州などの世界情勢にも敏感に反応しながら、日本でもいずれ廃棄物を取り扱う側の知見や情報が必要になると確信し、先見性を持って新規事業領域を開拓してきたモノファクトリー。“商品”であった廃棄物を減らすことに貢献しながら新しい価値を提供するという事業転換を軌道に乗せた道のりは示唆に富んでいます。
・2013年グッドデザイン賞受賞
・新規事業領域の開拓
・産廃業界の魅力向上
・サーキュラーエコノミーへの貢献