「Art Fair NAKANOJO」は、群馬県中之条町で開催されているアート作品の紹介・販売イベントです。中之条町では2007年より隔年で「中之条ビエンナーレ」という国際芸術祭が行われており、開催のない年である2024年から「Art Fair NAKANOJO」は始まりました。今年は二回目の開催となり、6月13日から21日の9日間、町内の旧廣盛酒造を会場に37組のアーティストが参加します。一般的なアートフェアは通常ギャラリー主催で行われることが多いのですが、「Art Fair NAKANOJO」はアーティスト主導で行われ、事務スタッフやボランティアの手を借りながらアーティストたちがチームとなって場を作ります。
運営委員長は「中之条ビエンナーレ」への参加を機に2021年に中之条町へ移住したアーティストの西島雄志さん。制作に集中するための移住でしたが、東吾妻町に借りた物件で「gallery.studio.cafe newroll」というギャラリーを運営するようになりました(現在は、自身の作品を紹介するギャラリー「藝術中之条」も中之条町で運営)。自身の作品や、西島さんが知る良いアーティストの作品、自分同様に中之条町に移住してきたアーティストの作品を紹介していく中で「中之条ビエンナーレには、固有のアーティストのファンになっている人が多い。その人たちは作品を見るだけではなく、所有したい気持ちも持っている」ということに気付きます。
「Art Fair NAKANOJO」を始めたことについて西島さんは「僕がやりたいというよりは、必要とされている感じがした」と話します。ギャラリーやアートフェアで彼が紹介したいと思う良いアーティストとは、アート業界における知名度の高さではなく、一生をかけて本気で作品を作り続けていくアーティスト。作品を売るコマーシャルギャラリーに属さないアーティストは、熱意や技術はあっても、アート制作だけで生活することは難しい。作品を所有したい人と、作品を作り続ける作家、その双方が出会う場所が「Art Fair NAKANOJO」だと言います。
前回の開催では全部で1,000点ほどの作品が並び、その半数が購入されました。運営に関する協賛を募ったところ、このイベントに期待を寄せる個人による小口の協賛が多数寄せられました。期間中には、中之条町に移住したアーティスト等による「地方で制作を続けること」についてのトークイベントも開催。アート作品の購入について、ギャラリーでの経験も踏まえて西島さんは「初めは高いねと言っていたお客さんが数年経つと、その倍の金額でも安いねと言ってくれることがある。大量生産とは違い1点ものが買えるということ、それが作家の人生の一部であることを理解し、価値観が変わったのだと思う」と話します。アートフェアでは比較的安価な作品を小学生が買っていくということもありました。また、その場で作品を購入しなくても、会期後に宿の女将が自身の宿に関する絵の制作を参加アーティストに依頼したケースもありました。
「数年前はアートバブルがあってそれが資産になるという雰囲気があった。今は景気の影響で世界的に冷え込んでいる。東京のアートフェアはギャラリーに所属している作家しか紹介されない。地道に活動している作家も紹介する場があると良いなと思うようになった。中之条ビエンナーレはハレの日。お祭りにはお祭りの良さがあるけれど、ケの日である日常でもアートが楽しめるということを発信していきたい。ギャラリーやアートフェアなど、中之条に行けば何かしらやっている、という動きがもっと活発になると良い」と西島さん。「Art Fair NAKANOJO 2026」ではどんな作品に巡り会えるのでしょうか。
・「Art Fair NAKANOJO 2024」には47組のアーティストが参加し、半数の作品が購入された
・「中之条ビエンナーレ」でアーティストを知った人が、そのアーティストの作品を購入する好循環が生まれた
・販売機会の乏しいアーティストでも自ら作品を販売ができる機会が生まれた