大和屋は1980年に高崎市で創業し、コーヒー豆と日本各地の陶磁器の販売を軸に事業を拡大してきました。創業40年を迎えた2020年には現代表・平湯聡さんへ事業が引き継がれます。これを機に「これまでの強みや伝統を大切にしながら、新しい世代のお客様にも受け入れられるブランド」を目指すため、リブランディングに着手しました。
まず、会社としての目指すべき方向性を再定義する必要がありました。自社の強み、お客様に提供したい価値を改めて振り返りました。そして出てきた要素は以下の2点でした。
ひとつは、コーヒー店であることを明確に示すこと。大和屋は陶磁器をはじめ多様な商品を扱っているものの、原点であり事業の主軸はあくまでコーヒーです。平湯さん自身もブラジルとグアテマラで2年間のコーヒー産地での修行を経験し、ブラジルではコーヒー鑑定士の資格を取得。現在も自ら定期的に産地を訪れ、買付けを行っています。こうした背景を踏まえ、ブランド名も「大和屋」から「大和屋珈琲」へと改め、コーヒー専門店としての姿勢をより明確にしました。
もうひとつ重視したのは、「和」の要素です。それは
【日本人の味覚に合う珈琲を目指した、炭焼きのコーヒー 】
【日本全国のさまざまな陶磁器の取り扱い 】
【古民家をイメージした本店の店構え】
【季節感を取り入れたディスプレイ】など、
「和」のイメージは大和屋を象徴する大切な要素となっています。
そこからデザインの工程に進み、シンボルマークの刷新に取り掛かりました。デザインを担当した高崎市のマニアッカーズデザインさんから提案されたのが、家紋の造形をベースにするというアイデアです。和の雰囲気を継承しつつ、またコーヒー豆のモチーフをあしらうことで、コーヒーを主軸とする企業姿勢を明確に示すことができました。こうして、伝統と新しさが調和したシンボルマークが完成しました。
2020年、群馬県庁32階でカフェを運営する事業者の公募が行われ、大和屋はこれに応募して採択されました。事業としてはじめての飲食の形態である「YAMATOYA COFFEE 32」をオープン。ここから新しいデザインの運用を本格的に開始しました。
「コーヒーを主軸に据え、新しい世代のお客様にも来てもらいたい」というリブランディングのコンセプトを象徴する店舗であり、新しいデザインを導入するには最適なタイミングでもありました。店舗の看板サインや、紙コップなどのパッケージ類にも新ロゴを使用し、統一感のあるブランド体験を提供しています。
サインの変更にあたっては、ロゴに込めた企業としての理念や、今後提供していきたい価値を、まず社員にしっかり共有することが重要だと考えていました。そこで、社内向けの発表会を実施し、新しいブランドの方向性について共通認識を形成しました。
2024年には、これからの大和屋珈琲の方向性を示すフラッグシップ店舗として、前橋六供店をオープンしました。創業当時とはコーヒーを取り巻く環境も大きく変化しており、改めて大和屋珈琲の立ち位置を見つめ直したうえで、「物販+カフェ」を融合した新しいかたちの店舗を考えました。
建物の設計においても、リブランディングのテーマである「これまでの強みや伝統を大切にしつつ、新しい世代のお客様にも受け入れられる」ために、和の要素を用いながらも若い世代の感性にも響く新しさを表現しました。明るい店内には30種類以上のコーヒー豆を揃え、広いカフェスペースを設けたことで、「コーヒーを飲みに気軽に来て 、気に入ったらそのコーヒー豆を購入することができる 」という、カフェと物販を連動した自然な流れが生まれています。オープン後は想定以上にカフェ利用が多く、高崎本店とは異なる客層の来店も増えており、新しいブランドの方向性を体現する店舗として機能しています。
今後は、多数ある大和屋珈琲オリジナルのPB商品のパッケージデザインも順次刷新し、リブランディングをさらに推し進めていく予定です。
代表の平湯さんはリブランディングについて以下のように振り返ります。
「今回のリブランディングは、創業以来大切にしてきた価値観を受け継ぎながら、これからの時代にありたい姿へと進化するための取り組みです。コーヒーを主軸とする企業としての立ち位置を明確にし、伝統と新しさを調和させたブランド表現を整えてきました。これからも変わらず美味しいコーヒーと、コーヒーのある豊かなくらし を提供し続けることで、新しいお客様との出会いを生み、さらに地域に根ざしたブランドを目指します」